文部科学省は30日、学校施設の非構造部材の耐震対策を検討する有識者会議の初会合を開いた。学校施設は、これまで躯体の耐震化に重点を置いてきたために、非構造部材の耐震化が遅れ、耐震化実施率は3割に満たない状況にある。東日本大震災では体育館の天井落下で人的被害も発生しており、有識者会議で体育館の天井落下防止のための技術的な対応策、対策を加速させる国の推進策などを議論する。8月に中間報告、2013年3月に最終報告をまとめる。
非構造部材は、建物の構造体以外の▽天井材▽照明器具▽窓ガラス▽外装材▽内装材▽設備機器▽家具―などを指す。学校施設では、構造体の耐震化率が80・3%(11年4月時点)まで進んできたことに比べ、非構造部材の耐震化率は29・7%(同年5月時点)、対策未実施校は2万0350校と、対策が大幅に遅れた状況にある。
東日本大震災では、1636校の体育館で天井材落下が発生するなど、多くの学校施設で被害がでた。
有識者会議では、天井落下で被害が発生する懸念が高いことや、災害時の避難所として利用されることから、体育館の天井材を中心に耐震対策を検討する。初会合では、有識者会議の中に体育館の天井落下防止対策を検討するワーキンググループ(WG)を設置することを確認し、6月中に全国250校で耐震対策の実態調査を実施することを決めた。
WGでは、実態調査の結果や東日本大震災の被害状況などを整理し、体育館の安全性を確保するための性能を検討したり、緊急的・応急的措置も含めた技術的な対応方策を提案する。検討結果を有識者会議に報告し、8月の中間報告に反映する。
有識者会議では、13年3月まで検討を継続し、体育館の天井落下防止対策の手引きを作成したり、点検・対策方法を解説した「耐震化ガイドブック」を改訂する予定。
提供:建通新聞社