国や建設業団体などで構成する「社会保険未加入対策推進協議会」は29日に初会合を開き、社会保険未加入対策の徹底に向けた取り組みを本格的に展開する体制を整えた。初会合の中では、建設業団体が策定する社会保険加入促進計画の枠組みとして、会員や下請けの保険加入状況を具体的に示した上で5年間の計画期間中に達成すべき目標を明確化することを決めた。専門工事業団体に対しては法定福利費の標準見積書を作成するよう要請した。社会保険未加入は許さないという固い決意で対策を徹底していくことも参加者全員で申し合わせた。
この協議会は、建設業許可・更新時の保険加入状況の確認・指導や、元請けによる下請け指導の徹底といった社会保険未加入対策を、行政・発注者・元請け・下請け・労働者などが一体となって推進していくために設置された。会長に就任した芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授は、「社会保険の加入は国民の権利であり義務でもある。この問題を正していくことから建設産業の再生と発展が始まる。建設産業の未来と次代を担う若者のために協力してほしい」と訴えた。
議題の一つとなった社会保険加入促進計画は、推進協議会に参画した建設業団体に作成を求める。国交省が示した枠組みによると、計画期間は2012年度から16年度までの5年間とし、10月の次回協議会までの作成・公表を見込んでいる。
計画に盛り込むべき項目のうち、保険加入状況については、会員を通じたアンケート調査などにより、会員や下請けの現況を把握。その上で、団体の実情に応じ、定性的または定量的な目標を示すこととした。目標の実現に向けて、総合工事業団体、専門工事業団体それぞれの視点から、工事現場での確認・指導、法定福利費の確保、重層下請構造の是正、一人親方対策などへの具体的な取り組みを記載することも求めた。
法定福利費の確保をめぐっては、国土交通省が専門工事業団体に対し、従来の総額単価だけでなく、これに含まれる法定福利費見込み額を内訳明示する手法を検討するよう要請。検討の論点として、▽単価に含まれる法定福利費の切り出し方▽建築・土木の別、重層化の次数に応じた設定方法―などを位置付けた。
社会保険未加入対策の推進に関する申し合わせも行った。社会保険未加入問題について「もはや避けては通れない重要な課題」との認識に基づき、推進協議会の設立を機に、社会保険未加入対策を関係者一体で総合的に推進する決意を表明する内容となった。
提供:建通新聞社