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2012/05/30

「学校に公共施設集約を」 文科省特別部会がヒアリング

 文部科学省は29日、公立学校の再生整備を議論する「老朽化対策検討特別部会」の2回目の会合を開き、公共施設の長寿命化に取り組む学識経験者や地方自治体からヒアリングを行った。早稲田大学の小松幸夫教授は「若年人口の減少で学校施設には余剰が発生してきている」として、学校に公共施設を集約することを提案。東京都立川市では施設寿命を70年に延命するため、今後は大規模改修に加え「中規模修繕」を行うなど、現在進めている維持・更新の見直しについて説明した。
 小松教授は、税収の減少で公共施設の維持が困難になるとの前提で、学校施設を活用し、それ以外の施設を集約する手法で「公共施設の総量を削減する必要がある」との自論を展開。また、自治体の公共施設を管理する部局が縦割りであったり、各部局の連携が薄いなどの理由で「修繕・改修費用の必要性が認識されず、予算配分が硬直化している」などと問題点を指摘した。
 立川市では「厳しい財政状況にある中で老朽化した建物を従来通り建て替えることは困難」との認識で、公共施設の維持更新の在り方の見直しを進めている現状を説明。施設の「70年寿命」を目標に大規模改修を実施するとし、築後55年以上が経過した残りの寿命が短い施設には中規模修繕を行う方針も示した。
 このほか、川崎市も現在進めている学校施設長期保全計画の策定状況を紹介。計画を策定した後に「5年程度で集中的に大規模改修を行い、老朽化した施設の底上げを図りたい」などとした。
 特別部会は、1970年代に完成した施設が約4割を占めるなど、老朽化した学校施設の再生整備を議論するために4月に発足。8月中に中間報告、13年3月に最終報告をまとめる予定だ。文科省は、特別部会の報告を踏まえ、再生整備の在り方や推進方策を盛り込んだ「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」を策定する。

提供:建通新聞社