厚生労働省のまとめによると、2011年に発生した建設業の死傷災害は前年比4・6%増の2万2372人で、33年ぶりに増加した。同省では、東日本大震災の復旧・復興需要の拡大で、未熟練労働者が異業種から流入したことなどを増加要因に挙げている。死亡災害は342人で6・3%減少したが、全産業に占める割合は33・4%と前年よりも2・9ポイント増加した。
全産業の死傷災害は(死亡災害と休業4日以上の災害)は、震災の直接的な原因による死傷者を除くと、11万1349人(3・3%増)で2年連続増加。死亡者は1024人で14・3%減った。
建設業の死傷災害は、1978年から減少していたが、33年ぶりに増加に転じた。家屋の建築工事で墜落・転落災害が多く発生した。復旧・復興工事の需要拡大から建設労働者が不足し、未熟練労働者が異業種から転職してきたことなどが影響したとみられる。
建設業の死亡災害は342人で、業種別では「土木工事業」で115人(17・9%減)、「建築工事業」で155人(0・6%減)とそれぞれ減少したが「設備工事業などその他」で4・3%増の72人となった。
事故の類型別では「墜落・転落」が154人と全体の45%を占めた。次いで「交通事故(道路)」の51人、「はさまれ巻き込まれ」の29人、「崩壊・倒壊」の28人などが多かった。熱中症による死亡者は前年の17人から6人まで減った。
一時に3人以上の労働者が業務上死傷したり、罹病した「重大災害」は9・2%増の95件で発生。重大災害による死傷者は393人、死亡者は29人に上った。
また、東日本大震災の復旧・復興に関連する建設業の労働災害では、385人が死傷し、うち21人が死亡。厚労省では、被災3県に安全衛生に関する拠点を開設し、工事現場への巡回指導や安全衛生教育への支援を実施するなどの労働災害防止対策を講じている。
提供:建通新聞社