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2012/05/28

保険未加入「17年度以降は排除徹底を」

 社会保険未加入対策の一環として国土交通省は、社会保険加入に対する元請け・下請けの役割と責任を明確化した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」(案)をまとめた。元請けには、下請けの選定に当たり、保険加入状況を確認した上で未加入の場合に早期加入を指導すべきと指摘。遅くとも2017年度以降は、未加入企業を選定せず、未加入者の現場入場を認めない措置の徹底を求めた。一般からの意見募集を経て7月上旬に通知し、11月1日から施行する。
 社会保険未加入対策のうち、元請けによる下請け指導の徹底に向けては、建設業法施行規則を改正し、11月から施工体制台帳や再下請負通知書に保険加入状況を記載することを義務付けた。
 今回のガイドライン案は、こうした取り組みの指針となるよう、元請け・下請けがそれぞれ負うべき役割と責任を明確化した。12年度から13年度にかけての取り組みを中心に記載しており、今後の取り組み状況などによっては見直しもあり得る。元請けに対する下請け指導の徹底を政令で義務付けるべきかどうかもガイドラインの順守状況などを踏まえ判断していく方針だ。
 元請けの指導対象は、直接の契約関係にあるものに限らず、請け負った工事に従事する全ての下請けとする。ただし、元請けが全て直接指導せず、直接の契約関係にある下請けに指示、または協力させ、これを統括する方法も可能とした。
 協力会などを構成する協力会社への指導としては、未加入が判明した場合や、個人事業主として作業員名簿に記載するなど不自然な取り扱いが見られる場合に早期加入を指導するよう求めた。
 下請け選定時の確認・指導に当たっては、未加入企業が不良不適格業者であるとの認識を前提として、下請契約に先立ち加入状況を確認した上で、未加入の場合には早期加入を指導すべきと指摘。確認方法として、必要に応じて下請けに保険料の領収済通知書など関係資料のコピーを提示させるなど、真正性の確保に向けた措置を講じることが望ましいとした。
 また、施工体制台帳の作成・備え付けが義務付けられる建設工事では、特定建設業者である元請けが再下請負通知書で下請けの加入状況を確認・指導することとし、施工体制台帳などを要しない場合も同様の指導を要請した。
 作業員名簿の社会保険欄で、▽全部または一部の保険が空欄である▽法人所属の作業員で、国民健康保険や国民年金が記載されている▽個人事業所で5人以上の作業員が記載された作業員名簿に、国民健康保険や国民年金が記載されている―といった場合には、適切な保険加入を指導するよう求めた。
 下請けの役割と責任については、労働者である社員と請負関係にある者を明確に区分した上で、社員の保険加入手続きを適切に行う必要性を指摘。事業主が事業関係経費の削減を目的に、労働者をいわゆる一人親方♂サして請負契約を結ぶことは避けるべきとし、実態が雇用労働者であれば、偽装請負として職業安定法などの労働関係法令に抵触する恐れがあることに言及した。
 さらに、保険未加入対策の推進を契機として、従来の慣行が適切なものかどうかを見直すことが望ましいとの考えも盛り込んだ。
 ガイドライン案に対する一般からの意見は6月25日まで受け付けている。詳細はホームページ(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=155120305)で確認できる。

提供:建通新聞社