内閣府が行ったPFI事業への参画意向調査で、機関投資家や事業会社の約8割が、政府が設立を目指している官民インフラファンドの投資対象分野として「再生可能エネルギー」に期待していることが分かった。上下水道、空港、港湾に期待する声も多かったが、文化施設や体育施設など収益性が低いとされる分野への期待は低かった。東日本大震災の被災地のPFI事業に対しては、機関投資家の約4割がインフラファンド投資に関心があると答えた。
調査は、アンケート形式で機関投資家(企業年金や厚生年金基金の運用担当者、金融機関の広報担当者ら)、東商1部上場の事業会社など623者から回答を受けた。事業会社には建設会社28社も含まれている。
政府は、PFI事業の拡大を図るため、今通常国会に改正PFI法を提出し、PFI事業を投資対象とした官民共同出資のインフラファンド設立を目指している。調査では、機関投資家や事業会社に官民インフラファンドへの参画意向などを質問した。
インフラファンドへの投資意向に関する質問に対し、機関投資家の12・1%が「投資を考えている」、38・4%が「投資を検討する」と回答。インフラファンドの投資対象には、ファンドへの投資を検討している機関投資家の76・2%、事業会社の82・4%が再生可能エネルギーを期待する分野に挙げた。7月1日の全量買取制度の施行で事業の収益性が高まり、回収が容易になると期待しているとみられる。
今後の国内インフラ投資に向けた課題には、機関投資家の46・4%、事業会社の27・7%が「制度や投資対象に係る豊富な情報開示」と回答。政府に期待する役割には、機関投資家の46・4%、事業会社の64・3%が「投資対象となる事業を積極的に市場に出していくこと」を挙げている。
震災復興事業でのPFI事業については、機関投資家の37・8%が投資に関心を示したほか、事業会社の29・8%が積極的に関与すると答えた。ただ、被災地の地方自治体に対するヒアリングでは、具体的に独立採算型のPFI事業の採用を検討している案件はほとんどなかったとしている。
提供:建通新聞社