中小企業の連鎖倒産を防ぐ「中小企業倒産防止共済」の加入者が増加している。新規加入の増加により、2011年度末時点の加入者数は31万4387社(前年度比3・9%増)に増加。昨年10月の制度改正で貸付限度額が引き上げられたことを受け、掛金月額を新しい上限の20万円に増額する加入者も1万2810社いた。全加入者の2割を占める建設業の加入者数も7万3978社で2・9%増。掛金月額を上限に引き上げた加入者も1741社あった。
中小企業倒産防止共済は、取引先の倒産に直面した際の資金調達手段として、共済加入者に掛金総額の10倍を限度に無利子・無担保・無保証で貸し付ける制度。運用は中小企業基盤整備機構が行っている。
共済の加入者は、リーマンショックがあった08年度ごろから増加傾向にあったが、11年度は過去2年と比べても増加幅が拡大した。中小企業倒産防止共済法の改正により、10年7月から取引先が私的整理するケースを貸付対象に追加したり、11年10月から貸付限度額を3200万円から8000万円に増額するなど、大幅な制度改善を図ったことが影響した。
11年度の新規加入は3万3728社と前年度と比べ7・5%増加し、加入者は3・9%増の31万4387社となった。貸付限度額の引き上げに伴い、掛金月額の上限も8万円から20万円に引き上げられており、掛金を上限の20万円に変更する既存加入者も1万2810社に上った。
製造業に次いで加入者が多い建設業では、新規加入者は7815社と前年度から2・6%減少したが、加入者全体では2・9%増の7万3978社となった。また、既存加入者1741社が掛金を上限まで増額した。
一方、11年度は倒産件数が減少したことで、取引先の倒産で共済金の貸し付けを受けたケースは2183件と11・8%減、貸付額も167億円と14・4%減だった。建設業の貸付件数・貸付額もそれぞれ減少した。
ただ、10月からセーフティネット保証の指定業種が見直されたり、中小企業金融円滑化法が13年3月末に期限切れになるなど、中小企業の資金繰りをめぐる環境は流動的。共済を所管する中小企業庁では「中小企業に対する政策金融が見直されることで、金融機関の貸し渋りも懸念される。企業倒産が増え、共済の貸付件数が増加する恐れもある」と話している。
提供:建通新聞社