国土交通省は、東日本大震災の教訓を踏まえた今後の応急仮設住宅建設の在り方を「応急仮設住宅建設必携」(中間とりまとめ)として整理した。この中では、想定必要戸数に応じた建設候補地の確保や建設事業者などとの協定・発注準備が必要と指摘。応急仮設住宅の仕様をめぐっては、汎用品の機器などが活用できる住戸規模への見直しなどを検討する。
東日本大震災では、津波などによって多くの家が流され、大量の応急仮設住宅の早期供給が求められた。しかし、用地や資材の確保の難しさなどから、その取り組みは思うように進まなかった。
このため国交省は、応急仮設住宅の建設に必要な平常時からの準備や災害時の対応などを明確化した「応急仮設住宅建設必携」(中間とりまとめ)を作成し、都道府県などに周知することにした。都道府県には各地域の災害などを想定した独自のマニュアル整備を進めてもらう方針だ。
中間とりまとめによると、応急仮設住宅の建設で前提とすべき事項として、発災からおおむね6カ月以内に供給できるのは5万戸が限度との考え方を提示。これ以上の供給が必要な災害が発生した場合は、公営住宅やUR賃貸住宅といった公的住宅、借り上げ仮設や自宅の応急復旧などを活用することを提起した。
必要戸数の想定に当たっては、住家被害(全壊・半壊戸数)の2割〜3割を見込むなどの推計方法を示した。想定必要戸数に応じた建設候補地の確保に向けては、敷地面積や土地所有者・管理者の了解、二次災害の危険性、取り付け道路の幅員、ライフラインの有無、造成工事の必要性などをチェックリスト化し、建設に適しているかどうかを優先順位を付けて判断する。
応急仮設住宅の標準的な規模は29・7平方bと定められており、浴槽やキッチンユニットなどの規格も汎用品より小さくなっている。国交省はその点が供給速度に影響を与えたとみて、コストや工期も考慮しつつ住戸規模を見直し、汎用品が活用できるようにすることが必要とした。
災害時の対応としては、プレハブ建築協会や地元建設事業団体などとの協議を踏まえ、発注に相当する建設指示を行う。また、現地確認や設計では地域の建築士事務所協会などに作業協力を依頼することも盛り込んだ。
提供:建通新聞社