文化庁の文化審議会は18日、国宝として歓喜院聖天堂(埼玉県熊谷市)など2件、重要文化財として旧松平家高松別邸の披雲閣(香川県高松市)などの建造物7件を指定することを文科相に答申した。文化庁が近く告示し、正式決定する。
国宝指定を受ける歓喜院聖天堂は、地元大工の林兵庫正清によって1720年に建設。江戸時代に発展した多様な建築装飾技法が駆使され、宗教建築における装飾文化の普及の過程を示しているなどとして、国宝指定を受けることになった。
重文指定を受ける披雲閣は、高松城跡の三の丸に位置する旧高松城主・松平家の別邸。清水組(現在の清水建設)の設計・施工で1917年に完成した。江戸時代の御殿を意識した伝統的な配置・意匠を持ち、142畳敷の大書院などを有するのが特徴。
重文にはこのほか、長野県松本市の牛伏川本流水路も指定を受ける。流水路は松本市南東部の筑摩山地にある砂防施設の一部で、アルプス渓流砂防の水路を参考に階段状に建設された。設計は内務省技師の池田圓男の指導の下、長野県内務部土木課が行った。
国宝・重文指定の答申があった建造物は次の通り。
[国宝]
▽歓喜院聖天堂(埼玉県熊谷市)▽唐招提寺金堂附旧鴟尾(奈良県奈良市)
[重要文化財]
▽陽徳院霊屋(宮城県松島町)▽八幡神社(福島県相馬市)▽牛伏川本流水路(長野県松本市)▽清風荘(京都府京都市)▽披雲閣(香川県高松市)▽洞口家住宅(宮城県名取市)▽三角旧港(三角西港)施設(熊本県宇城市)
提供:建通新聞社