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2012/05/14

パッシブ技術導入で学校ゼロエネ化 国交省・文科省が試算

 国土交通省と文部科学省は、14日の「学校ゼロエネルギー化推進方策検討委員会」に、学校の年間消費エネルギーを実質ゼロとするための手法を盛り込んだ報告書案を提示した。報告書案では、学校の建築・設備に高い水準のパッシブ技術や省エネ技術を適用した上で、最大167`hの大型太陽光発電を設置する「最大限努力対策」を講じた場合、ゼロエネ化が可能との試算を示している。
 国交省と文科省では、学校施設の平均的なエネルギー使用状況から、対策を優先すべき項目を照明・冷暖房・換気の3項目と位置づけ、重点的に対策を講じてエネルギー消費を最大50%低減し、残り50%を再生可能エネルギーの導入で補うことを前提にシミュレーションを実施。
 シミュレーションでは、建築物の基本性能を高める建築的手法と経済性に優れた設備技術を全面導入する「標準努力対策」と、パッシブ技術や省エネ設備に加えて大型太陽光発電を設置する「最大努力対策」の二つの対策を検討。
 標準努力対策では▽外壁・屋根の高断熱化▽開口部の複層化▽高効率熱源機器の採用▽高効率照明器具の採用▽換気ファンの発停制御―などの省エネ対策の実施を想定。これに加え、20`hの太陽光発電を設置することで、鉄筋コンクリート造の校舎で省エネ率32%(東京地域)が可能と試算した。
 一方、最大努力対策については、自然換気の誘発や昼光を取り入れる「ライトシェルフ」などの建築仕様を取り入れたり、▽熱源室外機水噴霧装置▽潜熱顕熱分離空調▽明るさセンサー制御▽簡易BEMS・見える化装置―などを導入。太陽熱集熱装置や最大167`hの大型太陽光発電を設置するこで、年間のエネルギー消費をゼロにできるとの見通しを示した。
 検討委員会では、5月下旬にも開く次回会合で報告書の内容を最終決定する。学校のゼロエネ化を目指す地方自治体が学校改修を行う際の基本計画費などを支援する「スーパーエコスクール実証事業」などとともに、自治体への情報提供や技術支援によってゼロエネ化を普及する考えでいる。

提供:建通新聞社