環境省は、除染特別地域で直轄で行う除染工事の共通仕様書をまとめた。共通仕様書では、直轄の除染工事の受注者に対し、実務経験が1年以上ある第1種・第2種放射線取扱主任者の有資格者などを「放射線管理責任者」の選任を求める。工事に伴って建物・土地を損壊した場合に備え、全作業員をカバーする請負業者賠償責任保険の加入を義務付ける。
共通仕様書は、福島県内の除染特別地域で実施する環境省直轄の除染工事を対象に、工事請負契約書や設計図書を統一的に解釈・運用するための必要事項や、各工事に採用する除染工法などを明記したもの。国土交通省の土木工事共通仕様書などをベースに作成したが、放射線管理関係の規定などは独自に設けた。
放射線管理責任者には、第1種・第2種放射線取扱主任者のほか、▽日本原子力研究開発機構▽放射線医学総合研究所▽日本原子力発電▽放射線計測協会▽原子力企業協議会―が行う講習の受講者のうち、実務経験が1年以上あるものの選任を義務付ける。作業単位ごとに「作業指揮者」を配置することも求める。
請負業者賠償責任保険については、権利者が事前に承諾した損害を除き、工事に伴って土地・建物を損壊した場合に備え、受注した企業と全作業員に加入を義務付ける。てん補限度額は1億円以上(対人・対物共通)とするよう求める。保険期間は契約期間をカバーできるようにし、工期を延長する場合には保険期間も延長する。
このほか、受注者に作業員名簿の作成を義務付け、作業員が身分証明書の交付を受けることを求めている。
また、除染作業が完了した区域ごとに放射線量の低減効果を確認するため、各工事の特記仕様書に「確認調査」の実施を規定する。工事対象物の総面積の1%程度を初回の除染と同じ工法で再度除染し、放射線量の大幅な低下が見られる際には、作業の一部やり直しも求める。
提供:建通新聞社