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2012/05/11

国土・防災政策の見直しを 30学会が共同声明

 日本学術会議の「東日本大震災の総合対応に関する学協会連絡会」は、政府に国土・防災・減災政策の見直しを求める共同声明を行った。連絡会に参加する30学会が集まり、災害履歴を踏まえた居住・産業の立地誘導、日本列島のグランドデザインの視点を盛り込んだ「国土総合計画」の作成などを提言した。10日、連絡会議長の和田章日本建築学会長ら各学会の会長が、前田武志国交相や中川正春内閣府防災担当相を訪れ声明文を手渡した。
 昨年12月から3回にわたり開かれた連続シンポジウム「巨大災害から生命と国土を護る」での議論の成果を共同声明としてまとめた。
 共同声明では、大災害から国民の生命と国土を護るため、政府が盛り込むべき政策を提言。和田議長は「災害発生に備えた立地誘導が徹底されていない」との危機感を訴え、災害履歴を踏まえたリスク分析を行い、より安全な場所に住宅や産業を誘導するよう求めた。
 具体的には、東日本大震災の被災地や将来の大災害が予想される地域で、地域の歴史・風土・自然環境を踏まえたハザードマップと「地域減災計画」の策定を促した。
 政府と地方が連携し、国土計画、都市計画、農山漁村計画、防災・減災計画などの要素を盛り込んだ中長期的な国土総合計画を作成することも提案。大災害の発生に備え、太平洋軸と日本海軸の相互バックアップ体制の確保など、日本列島のグランドデザインの視点を盛り込むことも求めた。
 また、災害規模に応じた防災・減災政策を講じることも要請。数十年から百数十年に1度の頻度で起きる大災害にはインフラの構造強化や施設整備による防災対策で対応し、数百年から千年に1度の頻度で起きる巨大災害には人命の犠牲を最小限にすることを優先し、避難設備の整備と避難教育の充実を組み合わせた総合的な減災政策で対処するよう求めている。

提供:建通新聞社