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2012/04/25

政府投資「年2%増を」 建設経済研究所 

 建設経済研究所は、向こう10年を見通した建設投資の中長期展望をまとめた。この中では維持・修繕工事の投資額が10年後の2022年度に現在の約2兆円から4兆円に増えると想定。大震災や集中豪雨など自然災害への備えも不可欠な状況となっていることから、政府建設投資を年2%程度増やしていくべきと提言した。「災害対応空白地域」が生じないようにする視点で建設投資を考えることも必要とした。
 「建設投資の中長期展望」と題したリポートでは、建設投資の現状と課題を整理した上で、政府・民間住宅・民間非住宅といった分野ごとに今後の方向性を示した。
 政府建設投資をめぐっては、日本が地震、台風・集中豪雨が頻発する厳しい自然条件を持っており、建設投資の必要性は大きいにもかかわらず、近年は減少を続け、欧米諸国と同等の水準になっているとの現状認識を示した。
 中長期的な展望としては、「建設投資は少なくとも今後想定される日本の経済成長率と同じ水準で推移することが期待される」と指摘。内閣府が本年1月にまとめた「経済財政の中長期試算」の成長戦略シナリオでは、11年度〜20年度の平均成長率を名目3%程度、実質2%程度としていることから、政府建設投資も年2%程度増加することが適当とした。
 また、社会資本ストックが増加を続ける中で、維持・修繕工事の投資額が10年後に倍増すると推計。こうしたストックへの投資が増える一方で、地震や水害への対応、国際競争力の確保などへの新規建設投資も不可欠となるため、PFIなど社会インフラを効率的に整備する手法を積極的に活用し、建設企業もそれに対応していく必要性を指摘した。
 民間住宅投資の中長期展望については、単身世帯・二人世帯の大幅な増加といった世帯構成の変化を踏まえ、20年度の住宅着工戸数は70平方b以下の住宅が09年度比で42%増と大幅に増加する一方、120平方b超の住宅が21%減に落ち込むとの見通しを示した。
 このように住宅一戸当たりの規模は小さくなるものの、耐震性・省エネ性の強化など住宅を取り巻く課題は山積しているため、「住宅に関する建設投資もより充実させることが必要」とした。
 民間非住宅建設投資をめぐっては、10年後も現在とほぼ同じ水準を保ち続けると想定した。事務所では耐震性の向上や自家発電の導入など既存ストックでは対応していない課題への対応がより重要となり、倉庫ではIT技術を駆使した高スペックな案件の供給が中心になるとの見方を示した。また、民間土木については、リニア中央新幹線の整備やスマートフォンの普及に対応した電話会社の設備投資の動向が重要とした。

提供:建通新聞社