国土交通省は、浮体式洋上風力発電施設の普及促進に向けて、浮体・係留設備の安全性に関する技術基準を制定した。設備単体で転覆・沈没しない構造や、係留索の交錯を防止する仕組みの採用などを盛り込んだ。技術基準を踏まえ、2013年度までに安全基準や設計指針をまとめるとともに、日本主導による浮体式洋上風力発電施設の国際標準化を目指す。
風力発電をめぐっては、政府が10年6月に閣議決定した新成長戦略で「風力発電・地熱発電立地のゾーニングを行い、建設を迅速化する。また、公有水面の利用促進、漁業協同組合との連携等による洋上風力開発の推進等への道を開く」こととされた。ただ、日本の特性に合致するとされる浮体式洋上風力発電は、世界的に見ても実用化例が少なく、技術的にも発展途上の段階にある。
こうした現状を踏まえ国交省は、浮体式洋上風力発電施設の安全性を検討した上で、船舶安全法に基づき構造や設備の要件を示す技術基準を制定し、その普及を後押ししていくことにした。
この技術基準を基に、施設設計に際して必要となる技術上の要件を明確化するとともに、福島沖で取り組んでいる実証事業にも適用し、安全性などを検証していく。
さらに、国際電気標準会議(IEC)で作業が進む浮体式洋上風力発電施設の国際標準化を日本が主導するための契機とし、関連産業の国際競争力強化などにつなげていく考えだ。
提供:建通新聞社