政府が太陽光発電に関する規制緩和策を立て続けに打ち出している。7月までに、太陽光発電に対する工場立地法の緑地・環境施設整備の義務を廃止したり、電気事業法で定める工事計画届や使用前自主検査などの適用範囲を縮小。太陽光発電の電気主任技術者の選任範囲を2000`h以下に縮小することも検討している。7月1日に再生可能エネルギーの全量買取制度が施行することに合わせて規制緩和を進め、メガソーラーなど事業用太陽光発電の設置計画を後押しする。
事業用の太陽光発電の中でも、出力1000`h以上のメガソーラーは、全国で約80カ所が稼働しているが、CSR(企業の社会的責任)や実証実験が目的で設置されたものも多く、現在は事業化の端境期にある。
ただ、電力会社に再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱など)で発電した電力の買い取りを義務付ける「全量買取制度」が7月1日に施行されることを追い風に、メガソーラーの設置計画が全国で増加し始めている。政府はこれに加え、太陽光発電導入時の障壁になる規制の緩和や廃止を進め、太陽光発電の資金調達を支援する全量買取制度との両輪で普及を後押しする。
工場立地法では、敷地面積が9000平方b以上か、建築面積3000平方b以上の工場・発電所について、敷地に対する施設面積率の基準を定めている。余った敷地には緑地・環境施設の整備を義務付けており、太陽光発電にとっても立地制約となっていた。
経済産業省はことし1月、工場立地法の準則を改正し、施設面積率の基準をそれ以前の50%から75%に見直し、太陽光発電の設置可能面積を拡大。さらに、7月までに工場立地法の政省令を改正し、太陽光発電設備を同法の適用対象外にし、全敷地に太陽光発電設備の設置を可能にする。
電気事業法で定める太陽光発電の保安規制も緩和する。現行の規制で「500`h以上」の事業用太陽光発電に求められる▽工事計画の届出▽使用前自主検査▽安全管理検査―の要件を「2000`h以上」に見直す。6月をめどに施行規則を改正する。電気関係報告規則に基づく事故報告対象は従来通り500`h以上に据え置き、安全確保の状況を検証する。
電気事業法関連では、電気主任技術者の選任義務についても、保安管理業務を外部委託した場合に技術者の配置義務をなくす「不選任承認制度」の対象範囲を拡大する。事業用太陽光発電のうち「1000`h以上」としている現在の対象範囲を「2000`h以上」に広げる見通しでいる。技術動向や安全性を検証した上で、2012年度中に結論を出す。
提供:建通新聞社