文部科学省は、老朽化した公立学校の改築・改修などの再生整備に焦点を当てた「老朽化対策検討特別部会」を設置することを決めた。初会合を25日に開く。1970年代に完成した施設が約4割を占めるなど、学校の老朽化が顕著になっている現状を受け、これまで重点的に進めてきた耐震化から再生整備へと緩やかに施策を転換させる。特別部会の提言を踏まえ、2012年度末までに再生整備の在り方や推進方策を示した「学校施設老朽化対策ビジョン(仮称)」をまとめる。
特別部会は「学校施設の在り方に関する調査協力者会議」の下部組織として設置する。文科省が学校施設の老朽化をテーマに有識者会議を設置したり、ビジョンを策定するのは初めての試み。
学校施設は、児童・生徒数が急増した1970年代に整備されたものが多く、完成後25年以上を経過した施設面積は全体の約7割に及んでいる。他方、2011年度に完成後25年以上が経過した施設は、10年前の1・7倍に増加しており、老朽化に対策が追い付かず、将来的に改修・改築需要が集中する懸念もある。
一方、文科省がこれまで学校施設の耐震化を重点的に進めてきた結果、11年度の耐震化率は80・3%まで進み、耐震化の完了目標(15年度末)に一定のめどが立ってきている。16年度以降へと老朽化対策に施策を転換できるよう、効果的な再生整備の手法などを学校施設老朽化対策ビジョンとしてまとめる。
部会では、学識経験者や設計者のほか、東京都世田谷区、川崎市、埼玉県新座市などの行政関係者も参加。ライフサイクルコストの低減、長寿命化などの視点を取り入れた改築・改修手法などを議論するほか、これまでに地方自治体が取り組んだ事例収集も行う。部会の議論をベースにビジョンをまとめ、再生整備に取り組む地方自治体に活用を促す。今夏に中間報告、12年度末に最終報告を行う予定だ。
提供・建通新聞社