民主党は19日、AIJ投資顧問による年金消失問題の再発防止に向け、厚生年金制度改革の中間報告案をまとめた。財政状況が悪化した厚生年金基金に対しては、公的資金などで損失を補填しない方針を打ち出し、基金の解散要件を大幅に緩和するなどして早期解散を促す。将来的に厚生年金基金制度を廃止し、既存の厚生年金基金を確定拠出型か、確定給付型に移行させる方向性も示した。
中間報告案は、19日に開いた民主党のAIJ問題等検証ワーキングチームと厚生労働部門会議などとの合同会議で大筋了承された。24日の政策調査会で正式決定する。年金消失問題の解決に向け、厚生労働省が設置した有識者会議の議論に中間報告の内容を反映させる。
中間報告案では、損失を出した厚生年金基金に対し、厚生年金本体の積立金や公的資金を投入しない方針を示し、投資が厚生年金基金の自己責任であることを明確に打ち出した。
厚生年金基金に加入する中小企業に対しては、本業の業況が良好な企業が公的融資や信用保証を受けやすくなる救済措置を講じる。金融検査マニュアルの明確化などで、基金解散で負担が生じた企業が金融機関から貸し渋りや貸し剥がしを受けることを防ぐ。連帯保証金額の上限設定、分割払い負担金の劣後ローン化などの措置も講じる。
資産運用環境の悪化で、保有資産が最低責任準備金を下回る「代行割れ基金」が全体の4割に上る現状を踏まえ、厚生年金基金制度を将来的に廃止する方向性も示した。既存の厚生年金基金は解散するか、確定拠出型か確定給付型の企業年金に移行させる。現行の制度では、事業主と加入者の4分の3以上の同意が必要な解散基準は大幅に緩和するとした。
提供:建通新聞社