建設作業員の経歴・資格をICカードで一元管理する「就労履歴管理システム」が、福島市発注の除染事業に導入されることが決まった。除染事業従事者にICカードを購入してもらい、安全教育受講履歴や外部被ばく線量など除染事業に必要な情報を登録し、現場の入退場時にチェックできるようにする。市が2012年度に発注する除染事業の現場約2万5000カ所に同システムを導入し、作業に従事する約4000人の就労履歴を管理する。
就労履歴管理システムは、建設作業員にICカードを携帯させ、このカードに作業員の所属・所在や保有資格などを搭載して現場の入退場時にチェックする仕組み。
福島市は、総務省の「被災地域情報化推進事業」の補助を受け、市発注の除染事業にこのシステムを導入する。6月にもシステムの運営主体を決めた上で、8月から現場にシステムを取り入れる。
同市発注の除染事業を受注する事業者は、作業員の▽所属・所在▽保有資格▽安全教育受講履歴▽健康診断受診状況▽社会保険などの加入状況―などを就労履歴管理システム(クラウド)に登録する。その上で、所属する全作業員に1枚1000円程度のICカードを携帯させ、入退場時にチェックする。
ICカードを読み取るカードリーダーにはスマートフォンを利用。システム運営主体が事業者にスマートフォンを貸し出し、作業指揮者が個々の作業員の現場ごとの労働時間をシステムに自動登録させる。
除染事業を請負う事業者に義務付けられている作業員の外部被ばく線量管理にもこのシステムを活用する。地区別の平均空間線量をシステムに登録した上で、除染電離則で定める被ばく線量限度を超えないよう各作業員の労働時間を管理する。
就労履歴管理システムは、宮城県石巻市の仮設住宅の建設現場や、内閣府発注の除染事業の一部に既に先行導入されている。昨年12月には、大手ゼネコンなどが加入した一般社団法人就労履歴登録機構も発足した。
今回、福島市に補助金を交付する総務省では、作業履歴に加えて被ばく線量管理の効率化が図れるとして「国直轄で実施する除染事業も含め、就労履歴管理システムの導入が広がってもらいたい」と、本格化する除染事業での導入拡大に期待している。
提供:建通新聞社