厚生労働省は13日、AIJ投資顧問の年金消失問題を受け、今後の厚生年金基金の資産運用と財政運用を議論する有識者会議の初会合を開いた。経済金融情勢の悪化、金融市場の変動幅の拡大など厳しい状況にある厚生年金基金について、資産運用規制の強化や財政運営の見直しを議論する。6月に提言をまとめる。
企業年金の消失問題を引き起こしたAIJ投資顧問には、厚生年金基金74基金と確定給付企業年金10基金が運用を委託。資産残高の総額は1900億円、加入者・受給者数は約90万人に及んでいる。建設業関連でも、建設業8基金、電設・電気工事業5基金が同社に運用を委託していた。
厚生年金基金の企業年金部分の資産運用は、1997年から各基金の自己責任での運用を基本原則としている。財政運営も、予定利率設定の弾力化、非継続基準の財政検証の導入、資産評価の時価評価への見直しなどが進められている。
ただ、その後の資産運用手法は、多様化・複雑化し、金融市場の変動幅も大きくなっている。経済金融情勢の悪化で、厚生年金基金の企業年金は厳しい状況が続き、特に厚生年金の代行部分に必要な積立金をもたない「代行割れ基金」が全体の4割を占めている。
有識者会議では、受託者責任の基本である分散投資を徹底させるため、運用機関への集中投資の規制を強化できないかどうかを検討する。財政運営については、予定利率の引き下げ、積立不足への対応、解散基準の緩和などの手法についても議論する。 保有資産が最低責任準備金を下回る「代行割れ基金」についても、現在行っている財政健全化指導や特例解散制度などの見直しを検討する。
提供:建通新聞社