「建設産業の生産性を高めるためには、いわゆるCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の活用が不可欠」―。国土交通省の佐藤直良技監は13日、日本建設情報総合センター(JACIC)のセミナーで講演し、コンピューター上に作成した3次元モデルの建物に部材の数量やコストなどの属性情報を盛り込んだBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を、土木分野でも積極的に活用する必要性を強調した。
佐藤技監は、日本の建設生産システムの現状について「土木分野では、企画・設計から維持管理という一連の流れが全てぶつ切りになっている。個々の技術は着実に進化しているにもかかわらず、全体を統合化する発想に乏しい」と指摘。その上で「建築分野を中心として世界で活用が進むBIMを、建築・土木の枠にとらわれずCIMとして一体的に普及させていくべきだ」と述べた。
CIMの実現に向けた今後の取り組みとしては、「官庁営繕施設の整備では、既にBIMの試行導入を進めており、図面間の整合性確保や手戻りのリスク軽減など一定の効果が確認されている。土木分野でもモデル工事の試行を通じて、属性情報の統一化などに取り組みたい」との意向を示した。
「CALSの15年を振り返り、新たなステージへ」と題したセミナーでは、佐藤技監に続き、愛媛大学教授の木下誠也氏が「建設CALS整備基本構想から15年」をテーマに講演。また、パネルディスカッションには、関西大学教授の田中成典氏、国交省大臣官房技術調査課建設技術調整官の多田智氏、日本建設業連合会公共工事委員会ICT部会図面専門部会長の佐藤郁氏、建設コンサルタンツ協会CALS/EC委員会委員・データ連携専門委員長の藤澤泰雄氏が参加し、今後の建設生産システムのイノベーションに向けた具体的な方策について活発に意見を交わした。
提供:建通新聞社