厚生労働省は、福島第一原子力発電所事故で放射能汚染された地域でインフラ復旧などに従事する作業員に対する、放射線障害防止対策の骨子案をまとめた。骨子案では対策の対象となる作業を、除染特別地域と汚染状況重点調査地域で実施する「1`当たり1万ベクレル超の汚染土壌などを取り扱う業務」と「平均空間線量率が1時間当たり2・5マイクロシーベルト超の場所で行う業務」と規定。被ばく線量限度などについては、除染電離則と同様の規定を設けるとした。
政府が予定している福島第一原子力発電所事故の警戒区域・計画的避難区域の再編に伴い、放射線量が高い地域でもインフラ復旧の本格化が見込まれることから、厚労省は作業員の放射線障害防止対策を検討している。 骨子案は6日に開かれた有識者会議の「除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会」に示した。これによると、対策は放射性物質汚染対処特措法で定める除染特別地域と汚染状況重点調査地域で行う「1`当たり1万ベクレル超の汚染土壌などを取り扱う業務」(特定汚染土壌等取扱業務)と「平均空間線量率が1時間当たり2・5マイクロシーベルト超の場所で行う業務」(特定線量業務)に適用する。
作業員の被ばく線量限度は「5年間100_シーベルトかつ1年間50_シーベルト」などとし、事業者に対し作業員の測定結果を30年間保存することを求める。また、平均空間線量率が1時間当たり2・5マイクロシーベルト超の場所などで作業を行う際、線量管理などを行う作業指揮者の配置も求めるなど、除染電離則で定める対策を基本に最終的な中身を固める。
除染の作業員に受講を義務付けた特別教育の実施に関しては、特定汚染土壌等取扱業務で、学科・実技双方の受講を求める。一方、特定線量業務の従事者の特別教育は学科のみとし、実技教育の受講は求めない。
厚労省は、専門家検討会の意見も踏まえて4月中に対策の内容を固め、対策に基づくガイドラインも作成する予定でだ。
提供:建通新聞社