トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2012/02/29

直轄の総合評価を改革 12年度上期に試行

 国土交通省は、直轄工事の総合評価方式を抜本的に見直す方針を固め、28日の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」に基本的な考え方を示した。総合評価方式のタイプを、企業・技術者の実績や施工計画で評価する「施工能力評価型」と、施工能力に加え技術提案を求めて評価する「技術提案評価型」に大別した上で、評価項目を工事の品質確保に関するものに絞り込む。準備が整った地方整備局などで2012年度上半期に試行を始め、13年度からは全地方整備局で本格運用に移行する考えだ。
 総合評価方式は、価格と技術を総合的に評価し、落札者を決定する仕組み。直轄工事では現在、工事の難易度に応じて「簡易型」「標準型」「高度技術提案型」の3タイプで運用している。
 直轄工事での総合評価方式は適用率がほぼ100%に達しているが、その運用をめぐっては▽技術提案作成・審査に要する受発注者の負担が増大している▽評価項目が複雑化し品質確保の理念から乖離(かいり)している▽民間の技術力活用が進んでいない―といった課題も指摘されてきた。こうした点を踏まえ国交省は、総合評価方式について技術提案を重視するタイプと、簡易に技術力を評価するタイプに二極化させていく必要があると判断した。
 新たなタイプのうち、施工能力評価型は、施工計画の提出を求めるT型と、実績だけで評価するU型に区分する。現行の簡易型と比較的難易度の低い標準型が対象となる。国交省によると「件数ベースで97%がこのタイプに含まれる」という。
 T型の施工計画は、特に重要と考えられる工種の施工方法についてA4用紙1〜2枚での記述を求める。また、これに代えて環境対策など特に配慮すべき事項の記述を求めるケースもある。評価は点数付けをせず、記載が適切であれば可とし、不適切や無記載であれば不可(失格)とする。必要に応じて配置予定技術者へのヒアリングを実施する。
 U型は企業や技術者の実績だけを評価対象とする。具体的には、施工実績・工事成績・表彰の評価を必須とし、必要に応じてその他の項目を設定する。地域精通度や貢献度などの評価項目は、災害協定の有無・災害活動の実態、近隣地域での施工実績など社会資本整備・管理に関係ある項目に限定して、企業の能力として評価する。工事手持ち量や社会資本整備・管理に関係しないボランティア活動などは評価しない考えだ。
 他方、技術提案評価型は、難易度などに応じて@AT型AAU型BAV型CS型―の4タイプを設定。現行の標準T型の一部と高度技術提案型が対象となる。
 AT型は、通常の構造・工法では制約条件を満足できない場合▽AU型は、有力な構造・工法が複数あり、技術提案で最適案を選定する場合▽AV型は、部分的な設計変更を含む工事目的物に対する提案や、高度な施工技術などにより社会的便益の相当程度の向上を期待する場合―に適用する。A型はすべてヒアリングと段階選抜を必須とし、予定価格は技術提案に基づき作成する。
 S型は、施工上の特定の課題などに関して、施工上の工夫などの提案を求め総合的なコスト縮減や品質向上を図る場合に適用する。ヒアリングや段階選抜は、WTO案件では必須とし、それ以外では必要に応じて実施する。予定価格は標準案に基づき作成する。

提供:建通新聞社