国土交通省は、建設産業が抱えるさまざまな課題の解消に向けて、建設産業戦略会議を再開させた。27日の会合では、住宅・社会資本の維持更新や低炭素・循環型社会への対応、公共工事の入札契約制度改革、大規模災害からの復旧・復興過程での施工確保システムの構築などを主な検討テーマに位置付けた。5月をめどに成果をまとめる方針だ。
建設産業戦略会議は、地域建設業の再生を中心として、建設産業全体の方向性を探るため、2010年12月に発足した。11年6月にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2011」(方策2011)では、地域維持型契約方式の導入や社会保険未加入企業の排除などを提言した。
今回の再開は、方策2011に盛り込むことができなかった課題を整理し、その対応策を探ることが狙い。座長は前回同様、東洋大学教授で弁護士の大森文彦氏が務め、委員構成も変更しない。会合に出席した前田武志国交相は「維持管理・更新の時代には、地域を支える建設産業の役割がより重要となる。地域の知恵を生かすために、PPPやPFIの活用を含め発注の在り方を検討していかなければならない」との方向性を示した。
主な検討テーマとして@住宅・社会資本の維持更新、低炭素・循環型社会の構築のための施策A建設企業の能力を建設工事以外の分野に活用するための施策B公共工事の入札契約制度改革による市場環境の整備C大規模災害からの復旧・復興への対応のための施策―の4項目を想定。例えば、建設企業の持つ能力を生かすため、PPP/PFI、CMなどをこれまで以上に活用できる仕組みや、大規模災害発生時に迅速な復旧・復興が可能となるシステムなどの在り方を検討していく。
非公開で行われた意見交換の中では、委員から「総価契約一式請負を大前提とした現行の調達システムが、新しい時代に対応できていない」「除染やがれき処理など建設工事以外の分野にふさわしい多様な発注方式を検討すべき」「偽装請負や社会保険未加入、技術者の不常駐など、建設業界に依然として残る不法行為を是正していく必要がある」といった意見が出たという。
提供:建通新聞社