国土交通省は、ユニットプライス型積算方式に代わる新たな積算手法として、「施工パッケージ型積算方式」を2012年度に直轄工事で試行導入することを決めた。直接工事費について、施工単位ごとに機械経費・労務費・材料費を含んだ「施工パッケージ単価」を設定して積算する仕組みを想定している。国交省によると「従来のユニットプライス型に比べ価格の妥当性・透明性が高まる」という。施工パッケージ単価は、舗装、道路改良、築堤・護岸の細別を先行して設定し、10月1日以降に入札手続きを始める工事を対象に試行を始める方針だ。
ユニットプライス型は、受発注者双方の負担軽減を目的として2004年に導入し一部の直轄工事で試行してきた。受発注者が合意した単価をデータベース化し、その実績を積算に反映させるものだったが、受注者からは積算価格が下がり続ける懸念に加え、価格の不透明性、契約変更のしにくさなどが課題として指摘されていた。また、発注者側からもユニットプライス型が必ずしも負担軽減につながらないとの声が上がっていた。
こうした状況を受けて国交省は、施工パッケージ型積算方式の試行導入に踏み切ることにした。この方式では、直接工事費の機械経費・労務費・材料費について一つの「施工パッケージ単価」を設定する。単価の設定に当たっては、受発注者の合意単価に加え、応札者単価を活用。さらに複数年の単価の傾向や実態調査結果も参考とすることで、現場の実態に合った直接工事費の算出を目指す。
価格の透明性を確保する観点から、標準単価と補正式を1年ごと(3月を予定)に公表する。具体的には、東京地区の標準単価と標準単価に占める機械費・労務費・材料費の構成割合を示し、これを基準に各地区の単価を導いていく。
契約変更の円滑化に向けては、数量変動の生じやすい作業土工を分離して、単独で「施工パッケージ単価」を設定する。
国交省は、3月に標準単価や構成割合を盛り込んだ運用方法を地方整備局などに通達する。その後、周知期間を経て10月1日から試行を始める。単価は舗装、道路改良、築堤・護岸を先行して設定するが、12年度の試行状況を踏まえ、対象を順次拡大していく。施工パッケージ単価を導入した部分については、積算積上方式を行わない。また、12年度の入札分からユニットプライス型も採用しない考えだ。このため、4月から9月までの間は積上積算方式だけを使用することになる。
提供:建通新聞社