国土交通省は、道路橋を新設する際の設計に用いる「橋、高架の道路等の技術基準」(道路橋示方書)を10年ぶりに改定した。社会情勢の変化を踏まえ、維持管理を考慮した設計を基本理念に位置付けるとともに、維持管理に必要な設計図など記録や情報を保存することを新たに規定した。技術の進展を踏まえ強度の高い鉄筋を使用可能としたほか、東日本大震災の教訓を生かし、設計地震動や補正係数を見直した。原則として4月1日以降の設計から適用する。
道路橋示方書は、橋や高架の技術基準を定めたもので、共通編・鋼橋編・コンクリート橋編・下部構造編・耐震設計編の計5編で構成している。国が新設する橋梁の設計基準だが、地方自治体でも広く活用されている。
改定に当たっては、基本理念など各所に「維持管理の確実性」を盛り込んだ上で、維持管理を円滑化するために必要な設計図や施工記録を保存するよう定めた。
また、使用材料のうち鉄筋コンクリート棒鋼に高強度棒鋼(SD390、SD490)を追加し、性能証明なしにこれらの材料を使用できるようにした。さらに鋼橋の溶接部で非破壊試験を行う際、保有すべきJISの検査技術者資格を明確化した。
耐震設計をめぐっては、東日本大震災をはじめとした最新のデータを用いて設計地震動や地域別の補正係数を見直した。大震災では、橋と盛土部分に数多くの段差ができたことから、橋台背面アプローチ部は「橋と背面側の盛土などとの路面の連続性を確保できる構造としなければならない」とした。
国交省はこうした内容を16日付で地方整備局や道路会社、地方自治体などに通知した。直轄では4月1日以降の設計に適用する。ただし、現在、設計中の案件でも可能なものは適用していく方針だ。
提供:建通新聞社