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2012/02/10

復興JV制度を創設へ 被災地の不調対策で

 国土交通省は、東日本大震災の被災地で復旧・復興工事の入札不調が多発している問題を打開するため、被災地と被災地以外の建設業者が共同企業体(JV)を組むことができる「復興JV制度」の創設や、技術者専任要件の緩和、実勢価格を反映した労務単価の設定などを実施する方針を固めた。2月14日に開く「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」に基本方針を示した上で、同月中に運用方法などを通知する考えだ。前田武志国交相が9日の衆議院予算委員会で、民主・前原誠二氏の質問に答えた。
 大震災の被災地では、復旧・復興が本格化するにつれて、入札不調の案件が激増している。例えば、宮城県が12月に発注した工事を見ると、土木一式の不調発生率は45%と高く、特に小規模な工事ほど不調が増えている。
 こうした状況が復旧・復興事業の円滑な施工に支障を来しかねないとみて国交省は2011年12月、関係省庁や自治体、業界団体で構成する連絡協議会を設け、技術者・技能者不足や労務単価上昇、入札不調案件の増加などの実態把握に乗り出した。
 今回の対応策は、被災自治体からの要望などを踏まえたもので、主に▽広域的な施工体制の構築▽技術者の有効活用▽予定価格の適切な算定―で構成する。
 広域的な施工体制の構築に向けては、被災建設業が被災地以外の建設業とJVを組むことを可能とする「復興JV制度」の創設を視野に入れている。被災建設業の技術者不足に対応するため、国交省は、構成員のいずれかが主任技術者を専任配置すればよい仕組みを想定している。
 また、技術者の有効活用に当たっては、一人の主任技術者が管理できる近接工事の要件を明確化する。具体的には、被災地域内の一体性・連続性のある工事で、現場相互の間隔が5`程度以内であれば兼任を可能とする方針だ。
 予定価格の適切な積算をめぐっては、建設市場単価や建設業団体による調査、厚生労働省の毎月勤労統計調査などを参考として、直近の労務費の実態を把握した上で、公共工事の積算に使う公共工事設計労務単価を短いサイクルで修正する。新たな労務単価の設定に伴い、既に契約している工事の契約金額も変更できるよう措置する。技術者や技能者を遠隔地から呼び寄せる場合の宿泊費や交通費についても、今後、実態調査を踏まえて対応策を検討する。

提供:建通新聞社