政府は7日、大震災発生時の安全確保を目的とする都市再生特別措置法の改正案を閣議決定した。全国63地域で指定されている都市再生緊急整備地域の協議会が、避難経路や退避施設、備蓄倉庫などの整備・管理について定める「都市再生安全確保計画」を作成する仕組みを整える。国はこの計画に沿って実施する事業を財政的に支援する。
東日本大震災では、大都市を中心として多くの避難者や帰宅困難者が発生し大きな混乱をもたらした。首都直下地震が発生した場合には、建物損壊や交通機関のマヒによる甚大な人的・物的被害が想定される。
今回の改正案は、官民連携によるハード・ソフト両面にわたる都市の安全性向上に向けた取り組みを通じて、こうした被害を軽減することが狙いだ。
その柱となる都市再生安全確保計画制度は、国や関係地方自治体、都市開発業者、鉄道事業者、大規模ビル所有者などで構成する都市再生緊急整備地域協議会が、大地震の発生に備え、▽退避経路・退避施設、備蓄倉庫といった都市再生安全確保施設の整備・管理▽避難施設への誘導、災害情報・運行再開見込みなどの交通情報の提供―などを定めた「都市再生安全確保計画」を作成できることとする。この計画の実効性を確保するため、国は2012年度予算で4億9000万円の支援措置を講じる構え。また、備蓄倉庫などを確保するため、容積率の緩和や手続きの迅速化に取り組む。耐震改修促進に向けて、建築確認や耐震改修の認定手続きを一本化することも想定している。
提供:建通新聞社