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2012/02/06

国交省に勧告「社会資本の長寿命化不十分」

 総務省は3日、社会資本の適切な維持管理・更新、長寿命化への取り組みが不十分だとする行政評価・監視結果をまとめ、関係する国土交通省と厚生労働省に勧告した。対象施設は、港湾施設、空港施設、河川管理施設(せき・水門など)、上下水道施設。定期点検や補修の適切な実施、点検結果のデータベース化、施設の現況を把握するための法令台帳の整備などを要請した。地方自治体への支援措置の充実も求めた。
 社会資本の維持管理・更新では、2010年2月に行われた道路橋に続く勧告。今回は、東日本大震災での被害を受けて社会的関心が高まった▽港湾997港▽空港98空港▽水道管約62万`▽下水道管約42万`▽河川管理施設1万カ所―を対象に調査を実施した。
 国交省が進めている長寿命化計画の策定については、国有港湾施設の41%、都道府県などが所有する港湾施設の7・9%で計画をつくっていなかった。また、国直轄の河川管理施設では、長寿命化計画をつくっている施設がなかった。
 一方、適切な定期点検・診断が未実施の施設は、港湾施設で72・2%、空港で55・6%、下水道で31・6%に及んだ。河川管理施設では定期点検を行ったにもかかわらず、腐食・老朽化が把握できず、損傷・事故が発生した事例も判明した。点検結果のデータベース化も、下水道で68・4%の市町村、上水道では55・6%の市町村で未実施だった。老朽化を把握するために欠かせない法令台帳も未整備の施設が多い。港湾施設の55・6%、空港22・2%が未作成だった。
 総務省は、今回の行政評価・監視に基づく勧告について、国交省と厚労省に対し、1年以内に改善内容を報告するよう求めている。
 前田武志国交相は同日の会見で、今回の勧告について「プロジェクトチームを立ち上げて台帳整備などの具体策を検討している」と語った。今後の社会資本の維持管理・更新については「民間の資金・ノウハウなどの活用も必要になるだろう」との見解を示した。

提供:建通新聞社