「建設産業の再生と発展のための方策2011」(方策2011)の具体化に向けた中間報告を、国土交通省の基本問題小委員会が27日にまとめた。業種区分をめぐっては、「『なおす』『とりこわしてつかう』といった行為に関連した業種区分の見直しの必要性が高い」とし、修繕と解体の業種を新設すべきとの考え方をにじませた。既存の一式工事のうち一定の分野を施工できる新たな業種を政省令で措置するなど、新たな業種の設定を容易にする仕組みの構築も求めた。
基本問題小委員会は、方策2011で打ち出した施策を実現するため、中央建設業審議会と社会資本整備審議会産業分科会建設部会が合同で11年9月に設置。今回を含め計5回にわたる会合で、▽業種区分の点検▽地域維持型契約方式の導入▽技術者データベースの整備▽社会保険未加入問題への対応―といった検討事項を審議してきた。
このうち、建設業法に28業種が指定されている業種区分については、建設業団体に対する調査などの点検を実施し、業種新設などの必要性を検討してきた。中間報告では、点検結果を踏まえ、「本格的な維持管理時代の到来や循環型社会の構築など社会的ニーズに一層対応していく視点が必要」と指摘。こうした認識に基づき、「なおす」「とりこわしてつかう」といった行為に関連した業種区分の見直しに言及した。これは点検で高い評価を得た修繕(リフォーム)と解体の新設を念頭に置いた表現とみられる。今後は対応する技術者資格の設定を含めて検討を深めていくことが必要とした。
また、結果として40年間にわたり現行の28業種が見直されてこなかったことを教訓として、既存の一式工事のうち、一定の分野を施工することができる新たな業種を政省令で措置する仕組みの構築を検討すべきとの認識を提示。その際には、具体的な施工可能範囲について中建審の意見を聞くことが適切とした。
ただし、業種の新設や新たな枠組みの創設には建設業法の改正が必要となるため、中間報告の実現にはまだ時間がかかりそうだ。
地域維持型契約方式をめぐっては、共同企業体運用(JV)準則を改定し、地域JVを創設したことなどを踏まえ、各発注機関が同方式を導入・活用することに期待感を示した。技術者DBについては、利用者の費用負担を軽減することや、DB登録者の経審での適切な評価が必要と指摘。社会保険未加入問題への対応に向けては、法定福利費が下請けまで適切に流れていく仕組みの構築などを求めた。
提供:建通新聞社