国土交通省は、直轄事業での地域維持型建設共同企業体(地域JV)の活用に向けて当面の運用指針をまとめ、19日付で各地方整備局などに事務連絡として通知した。構成員の要件として、発注工事に対応する建設業許可業種での営業年数が原則3年以上あることなどを明確化した。地域JVにより施工した工事については、請負代金額に各構成員の出資割合を乗じた額(甲型)や、運営委員会で定めた各構成員の分担工事額(乙型)を、各構成員の完成工事高として取り扱う。国交省は今回の事務連絡を「直轄のJV運用基準が改定されるまでの暫定的なもの」と位置付けている。
地域JVは、国交省の「建設産業戦略会議」が打ち出した地域維持型契約方式の担い手を確保するための仕組み。中央建設業審議会が2011年11月にJV準則を改定し、地域JVの性格や対象工事の種類・規模、構成員の要件・組み合わせなどを定めた。
これを踏まえ国交省は12月、直轄事業で地域維持型契約方式を活用する際の基本的な考え方を通知するとともに、地域JVの導入に向けてJV運用基準の見直しを進めてきた。ただ、運用基準の改定が12年度当初からの契約分に間に合わないケースがあるため、暫定的な措置として当面の取り扱いを示しておくことにした。
それによると、地域JVの構成員数は10社を上限とし、6社以上とする場合には本省と協議することとした。構成員は、発注工事に対応する工事種別での「維持修繕工事」有資格業者の組み合わせとし、このうち建設業法の土木工事業許可業者を少なくとも1社含むことを求める。
構成員の技術的要件も明確化した。すべての構成員は、発注工事に対応する建設業法の許可業種の営業年数が3年以上あることを原則とする。ただし、相当の施工実績を持ち、確実・円滑な共同施工が確保できる場合は、3年未満でも認める。構成員の少なくとも1社は、発注工事と同種の元請け施工実績を要し、場合によっては他の構成員にも同種工事の施工実績を求める。
各地方整備局などが地域JVを活用する場合には、該当する工事の概要や地域JVの構成員数、組み合わせ、技術的要件、出資比率要件などを公示した上で、希望者から資格認定申請を受け付ける。資格認定は対象となった工事だけで有効とする。
地域JVによる実績は、請負代金額に各構成員の出資割合を乗じた額(甲型)や、運営委員会で定めた各構成員の分担工事額(乙型)を完成工事高として各企業に振り分ける。工事成績評定は、構成員各自の成績として取り扱う。
提供:建通新聞社