厚生労働省は、足場からの墜落防止措置の普及を目的とする「足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱(仮称)」を1月中に策定する。足場からの墜落を防止する手すり先行工法など「より安全な措置」を普及させるため、要綱を策定して計画・設計段階での適切な対策の実施などを指導する。さらに、都道府県などの発注機関に、より安全な措置の標準仕様書での採用を働き掛ける。東日本大震災の復興関連工事でも、国や自治体の補助・融資を受ける民間工事などを含め普及を呼び掛けるとしている。
17日に開かれた「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」に普及方策の実施を報告した。同検討会に報告された2010年度の実施状況では、都道府県労働局・労働基準監督署が立ち入った6433現場のうち、手すり先行工法を採用した現場は31・1%で、09年度の採用率と同じ数字だった。
普及方策の柱となる要綱を策定し、足場の設計・計画段階からリスクアセスメントの視点を盛り込み、手すり先行工法などの「より安全な措置」を講じるよう指導する。足場設置事業者、専門工事業者、元請け事業者、発注者、足場メーカーなどの役割を要綱に明記した上で安全対策の普及に取り組む。労働基準監督署では、計画届の受け付けや監督指導などを通じて、きめ細かな対応を行う。
要綱の策定以外では、既に手すり先行工法を採用済みの国土交通省の直轄工事だけでなく、都道府県など自治体にも働き掛けて公共工事全般に普及させる。民間工事での採用率が21・7%と低迷している現状を踏まえ、東日本大震災の復旧・復興工事を中心に導入を促進する。
17日の検討会ではこのほか、09年3月に改正された労働安全衛生規則(安衛則)に基づく墜落防止措置の10年度の実施状況も報告した。安衛則に基づく墜落防止措置の実施状況は、前年度と比べ16・7ポイント減の75%まで低下したことが分かった。墜落・転落災害は、安衛則に基づく措置に不備があった現場で発生しているという。
提供:建通新聞社