経済産業省は、東日本大震災による電力需給の逼迫(ひっぱく)を教訓に家庭部門のエネルギー消費削減を目指し、省エネ法を改正して住宅の断熱性能の強化を促進する。建材メーカーの技術革新を促すため、商品化された製品のうち最も省エネ性能に優れた機器の性能以上を目指す「トップランナー方式」の対象に建材(断熱材、窓など)を追加する。また、電力需要のピークカットに貢献する対策として、蓄電池の活用などの評価も高める。改正法案を次期通常国会に提出する。
1999年の省エネ基準を満たす既存住宅の割合は住宅全体の約5%で、半数以上の住宅が無断熱の状態にある。新築住宅で基準を満たす割合も39%にとどまっており、住宅の省エネ対応の遅れが指摘されている。
トップランナー方式は1999年の省エネ法改正で導入。省エネ効率の基準を、市場に出回る機器の中で最高レベルのものに合わせて設定し、この基準に達しない製品を販売し続ける企業の社名や製品名を公表し、罰金を科すこともできる仕組みだ。
現在は電気製品や自動車などが対象だが、法改正でこの対象に断熱材や窓などの建材を追加する。建材メーカーに対し、一定の断熱性能を上回る建材の製造を義務付ける。トップランナー方式の導入で建材の断熱性能を高めることで、既存住宅のリフォーム時の省エネ効果を高める狙いもある。
今回の法改正では、蓄電池の活用、BEMS(ビルエネルギー管理システム)、HEMS(ホームエネルギー管理システム)などによるピーク対策を積極的に評価し、需要側による取り組みの定着も図る。また、省エネ法に基づく評価項目を簡素化することで、事業者が創意工夫し、さまざまな省エネ対策に取り組むよう誘導する。
改正法案は3月上旬に閣議決定し、次の通常国会に提出するとしている。
提供:建通新聞社