国土交通省は27日、津波防災地域づくりの推進に関する基本指針を決定した。同日に施行された津波防災地域づくり法に基づき、津波浸水想定や津波防災推進計画の設定、津波災害警戒区域・津波災害特別警戒区域の指定などについて基本的な考え方を明確化にした。これを踏まえ国や地方自治体は、津波に強い地域づくりを進めていくことになる。
津波防災地域づくり法は、東日本大震災の津波で甚大な被害が生じた教訓を踏まえ、津波に強い地域づくりを全国で推進することが狙い。国交省が定める基本指針を踏まえ、都道府県が津波浸水の恐れがある区域や浸水した場合に想定される水深を設定した上で、特に危険性が高い地域で一定の開発・建築などを制限できる仕組みの創設などが柱だ。
基本指針では、津波浸水想定を設定・変更するために必要な調査について、▽海域、陸域の地形に関する調査▽過去に発生した地震・津波に関する調査▽土地利用などに関する調査―などを規定した。
また、津波浸水想定の設定に当たっては、最大クラスとなる津波を念頭に、津波浸水シミュレーションモデルを活用する必要性を指摘。こうしたシミュレーションは、最大クラスの津波に対する避難時間などの検討に活用できることにも言及した。
市町村が作成する津波防災推進計画には、市町村マスタープランや景観法に基づく景観計画などとの整合を求めた。また、計画期間に関する規定は置かないものの、「適時適切に計画の進ちょく状況を検証していくことが望ましい」とした。
提供:建通新聞社