国土交通省の2012年度予算案(一般会計)は、前年度当初予算と比べ4・3%減の4兆7856億6200万円となった。このうち、公共事業関係費は全国防災関係経費を合わせても2・7%減の4兆1638億6900万円と減少した。ただし、地域自主戦略交付金などに移行した額を加えると、全国で社会資本整備に充てることができる予算はほぼ前年度並みとなる。また、東日本大震災からの復旧・復興関係費4162億円(うち公共事業関係費3520億円)の大半は復興庁予算として別枠計上した。主な事業では、建設継続を決めた八ツ場ダムの本体工関連工事や、外環をはじめとした大都市圏環状道路の整備などの予算を盛り込んだ。
今回の予算案では、3月11日に発生した東日本大震災を踏まえ、被災地の復興や国民生活の安全・安心の確保に総力を挙げて取り組むとともに、日本が抱える諸課題を克服するため、前田武志国交相が提唱する「持続可能で活力ある国土・地域づくり」を強力に推進していくことを基本方針に位置付けた。
大震災からの復旧・復興に向けては、三陸沿岸道路をはじめとした復興道路・復興支援道路の緊急整備に1088億円を充てた。被災した社会資本の災害復旧を進めるとともに、液状化対策・耐震化も推進する。復興まちづくりを進める観点から、津波防災地域づくり法に基づき、安全性を確保するための集団移転や市街地基盤の再整備、復興拠点の整備などを支援していく。
国民生活の安全・安心の確保に当たっては、首都直下地震、東海・東南海・南海地震などでの地震被害を防止するため、全国レベルの公共施設の耐震化・津波対策に2157億円を計上。予防的な治水対策の強化や河川管理施設の戦略的な維持管理・更新に2778億円、大きな水害・土砂災害が発生した地域での災害対策に1152億円を投じる。
持続可能な低炭素・循環型社会の構築をめぐっては、年間の1次エネルギー消費量がゼロとなる「ゼロ・エネルギー住宅」の普及支援や、既存住宅流通・リフォーム市場整備を通じた既存住宅ストックの有効活用に202億円を充てた。
成長戦略の推進に向けては、大都市圏環状道路の整備に1237億円、国際コンテナ・バルク戦略港湾などの整備に1171億円、首都圏空港の強化に118億円、官民連携による海外プロジェクト、建設業の海外展開の推進に16億円などを計上。地域活性化の観点から、全国ミッシングリンクの整備に3663億円、整備新幹線の着実な整備に706億円などを盛り込んだ。
国交省所管の補助金・交付金を一元化した「社会資本整備総合交付金」は、内閣府所管の「地域自主戦略交付金」や「沖縄振興のための新たな一括交付金」(名称未定)に2182億4000万円を移行させたため、9・6%減の1兆5857億6000万円(全国防災分を含む)となった。
提供:建通新聞社