国土交通省は、東日本大震災の被災地で問題となりつつある建設技術者・技能者不足などへの対応策を探るため、被災自治体や建設業団体で構成する「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」の初会合を27日に開く。技術者・技能者不足や労務単価の上昇、入札不調案件の増加の現状と対応の在り方を話し合った上で、1月早々にも国交省としての対応方針を明確化する構え。具体的には、技術者の専任制緩和や、実態を反映した労務単価の設定などが焦点となりそうだ。
東日本大震災の被災地では、復旧・復興工事が本格化するにつれて、技術者・技能者の不足や労務単価の上昇が問題として顕在化している。これらの影響もあって、被災自治体が発注する復旧・復興事業などで入札不調の案件が増えている。国交省によると、宮城県が10月から11月に発注した工事では、小規模案件を中心として約4割が不調だった。また、仙台市では約3割、福島県では2割台後半、岩手県では2割弱で不調の割合が推移しているという。
こうした状況が「復旧・復興事業の円滑な施工に支障を来しかねない」とみた国交省は、関係自治体・業界団体で構成する協議会を設けることにした。検討テーマは▽技術者・技能者不足▽労務単価上昇▽入札不調案件の増加▽その他復旧・復興事業の施工確保に役立つ事項―とし、まず各主体が把握している現状を報告し合った上で、今後の対応策を議論する。
12月8日に国と被災自治体などが集まり開いた準備会合では、被災自治体から▽技術者専任要件の見直し▽実態を踏まえた労務単価の設定―に関する要望があったという。国交省は連絡協議会を通じて、被災自治体や関係団体の意見をさらに聞き取り、施策への早急な反映を目指す方針だ。
連絡協議会には、国交省(本省、東北地方整備局など)・厚生労働省・農林水産省・林野庁・水産庁などの国の機関や、岩手県・宮城県・福島県・仙台市などの被災自治体が参加。加えて、日本建設業連合会・全国建設業協会・建設産業専門団体連合会・全国鉄筋工事業協会・日本建設大工工事業協会・日本建設躯体工事業団体連合会といった建設業団体も名を連ねる。
提供:建通新聞社