政府は20日、津波防災地域づくり法の政令案を閣議決定した。法に基づく津波防護施設として▽津波浸水防止機能を持つ盛土構造物▽護岸▽胸壁▽閘門(こうもん)―を規定した上で、こうした施設を新設・改良する工事に対する国庫補助率を2分の1とすることなどを定めた。法施行日を12月27日とすることも決めた。
この法律は、東日本大震災の津波で甚大な被害が生じた教訓を踏まえ、津波に強い地域づくりを全国で推進することが狙い。都道府県が津波浸水の恐れがある区域や浸水した場合に想定される水深を設定した上で、特に危険性が高い地域で一定の開発・建築などを制限できる仕組みを創設。市町村が津波防災地域づくりを総合的に推進するための「津波防災推進計画」を策定すれば、その計画区域内での土地区画整理事業や津波避難建築物の容積率規制に対する特例も設ける。
今回の政令案では、津波防護施設の定義や手続きなどを明確化した。それによると、津波防護施設区域で許可が不要な行為として、▽地表から深さ1b以内の土地掘削・切土▽地表から高さ3b以内の盛土▽鉄骨造、コンクリート造、石造、れんが造などを除く施設・工作物の新築・改築―を規定。津波防護施設管理者以外の者が工事を行う場合には、工事の設計・実施計画、維持の実施計画を記載した承認申請書を管理者に提出しなければならないこととした。
津波避難ビルなどの津波避難施設をめぐっては、改築・増築によって構造耐力上主要な部分を変更する場合などは届け出が必要とした。また、津波災害警戒区域で避難を優先する避難促進施設として、▽老人福祉施設▽有料老人ホーム▽障害者支援施設▽保護施設▽児童福祉施設▽学校▽病院▽診療所▽助産所―などを位置付けた。
提供:建通新聞社