厚生労働省は、除染作業に従事する労働者の放射線障害を防止するためのガイドライン案をまとめ、9日に開いた「除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策に関する専門家検討会」に提示した。ガイドライン案では、除染作業を請負う事業者に対して、労働者の放射線量を測定するための汚染検査場を現場の中か近隣に設けたり、衛生管理者の管理の下で「放射線管理者」を選任するなどの安全衛生管理体制を構築するよう求めている。
除染作業に従事する労働者の放射線障害の防止に関しては、11月に公表された同検討会の報告書をベースに、厚労省が除染作業に関する除染則を定める。除染則は、労働者が受ける被ばく線量の限度を「5年間で100_シーベルトかつ1年間で50_シーベルト」とするなどの内容で、2012年1月1日に施行する予定だ。
ガイドラインには、規制として法令に定める除染則の規定に加え、事業者が実施することが望ましい取り組みを盛り込む。
ガイドライン案は、事業者が汚染検査場を除染現場内か、現場とそれ以外の場所の境界に設置することを原則として定めるとした。地形条件などで設置が難しい場合には、近隣に設置することも認める。
複数の現場を同時に請負うケースでは、汚染検査場までの移動の際に密閉された車両を利用するなど、汚染拡大措置を講じることも求める。発注規模が小さいケースでは、発注者が共同の汚染検査場を設置することも推奨する。
また、ガイドラインには、除染事業者の安全衛生管理についても記載する予定。衛生管理者の専任が義務付けられる常時50人以上の労働者を使用する現場を対象に、線量の測定や測定結果の記録、汚染検査などを統括する「放射線管理者」の選任が望ましいとした。
現場に関係するすべての請負人で安全衛生協議組織を設置し、▽新規従事者の特別教育▽事前調査▽汚染検査▽労働災害発生時の応急措置―などについて協議することも求める。
検討会は、ガイドラインとともに、除染作業を行う事業者・労働者に対する特別教育テキストも年内にまとめる。
提供:建通新聞社