津波に強い地域づくりを目的とした「津波防災地域づくり法」が7日、参議院本会議で可決、成立した。都道府県が、津波浸水の恐れがある区域や浸水した場合に想定される水深を設定した上で、特に危険性が高い地域で一定の開発・建築などを制限できる仕組みを創設する。市町村が津波防災地域づくりを総合堤に推進するための「津波防災推進計画」を策定すれば、その計画区域内での土地区画整理事業や津波避難建築物の容積率規制に特例措置を講じて、防災機能を強化する。
この法律は、東日本大震災の津波で甚大な被害が生じた教訓を踏まえ、津波に強い地域づくりを全国で推進することが狙い。公布から2カ月以内に施行する。
法運用に当たっては、まず国交相が津波防災地域づくりの推進に関する基本的な指針を定める。基本指針では、津波浸水想定や津波防災推進計画の設定、津波災害警戒区域、津波災害特別警戒区域の指定などの基本的な考え方を示す。
都道府県は、津波災害が発生する恐れがある区域の地形・地質などを調べる基礎調査を実施した上で、基本指針に基づいて津波浸水想定を設定。津波被害の恐れがある区域を「津波災害警戒区域」、特に危険性が高い区域を「津波災害特別警戒区域」に指定する。特別警戒区域では、社会福祉施設や学校、医療施設の建設に伴う開発行為や、津波に対して安全な構造を持つ建物以外の建築を制限する。
市町村が策定する津波防災推進計画は、▽津波防災地域づくりの総合的な推進に関する基本的な方針▽津波浸水想定に定める浸水区域での土地利用・警戒避難態勢の整備に関する事項▽津波防災地域づくりの推進に向けた事業―などで構成する。津波防災推進計画区域内の土地区画整理事業では「津波防災住宅等建設区」を定めて移転を促進する。また、津波からの避難に役立つ建築物の容積率を緩和する。
提供:建通新聞社