厚生労働省は、東日本大震災で生じた放射性物質などの除染作業に従事する労働者の健康障害を防止する(仮称)電離放射線障害防止規則案(除染則)をまとめた。労働者が受ける被ばく線量の限度を「5年間で100_シーベルトかつ1年間で50_シーベルト」を超えない量と定めるとともに、測定結果を30年間保存することも義務付ける。2012年1月1日に施行する。
有識者会議の「除線作業等に従事する労働者の放射線障害防止に関する専門家検討会」の報告書をベースにまとめた。放射性物質汚染対処特別措置法に基づき指定する「除染特別地域」(年間追加被ばく線量1_シーベルト以上の地域)などで汚染土壌の除去や汚染の拡散防止措置などに従事する労働者を対象としている。
労働者が受ける被ばく線量の限度は、5年間で100_シーベルト、1年間で50_シーベルトをいずれも超えない範囲で定める。妊娠する可能性がある女性労働者は3カ月間で5_シーベルトと線量の限度を低く設定している。
除染作業を行う事業者は、事前に作業方法・線量測定方法・被ばく低減などに関する作業計画を策定し、関係する労働者への周知を求める。労働者が受ける被ばく線量の結果は、事業者が30年間保存するか、5年間保存した後に厚労省の指定機関に引き渡す。雇い入れや配置転換の時点と、その後6カ月に1回被ばく歴の有無を調べる特別健康診断の実施も求めた。健康診断の結果も30年間保存する。
放射性物質を扱う労働者の健康障害を防止する規則には、医療施設や原子力発電所などの屋内作業を対象とする電離則があるが、主に屋外で行われる除染作業を想定したものはこれまでなかった。厚労省は12日まで除染則に関する意見募集を行い、2012年1月1日に施行する。除染の作業内容などに関し、実用的な対策を盛り込んだガイドラインも12月中にまとめる予定でいる。
提供:建通新聞社