国土交通省の「高規格堤防の見直しに関する検討会」は6日の会合で、事業仕分けで廃止と判定されたスーパー堤防事業をめぐり、東日本大震災の教訓を踏まえ「人口が集中した区域で、堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間」に絞り整備を進めていくことにした。
スーパー堤防事業は、利根川、江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川といった、背後に人口や資産が集積した低平地を抱える大河川を対象に、まちづくりや土地利用転換に合わせて幅の広い堤防を整備するもの。整備予定区間は873`bとなっている。
10年10月に行政刷新会議が実施した事業仕分けでは、整備率が低水準にとどまっており事業費も過大との観点から「事業の廃止」が妥当と判定された。このため国交省は、有識者で構成する検討会を設け、事業の抜本な見直しを視野に具体的な対応の方向を探ってきた。
今回の検討会では、スーパー堤防について「東日本大震災を踏まえれば、災害に対してはハード・ソフト両面の対応が必要」との認識を提示。その上で「例えば、海面下の土地などは高規格堤防でないと人命を守れないことがある」とし、区間を絞り込みながら整備を推進する方向性を示した。
今後の整備区間は、▽堤防が決壊すれば十分な避難時間もなく海面下の土地が浸水する区間▽堤防が決壊すれば建物密集地の建築物が2階まで浸水する区間▽堤防が決壊すれば破壊力のある氾らん水により沿川の建物密集地に被害が生じる区間―の中から、氾らん形態や地形などを考慮して設定する方針だ。
提供:建通新聞社