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2011/12/05

東京圏の中枢機能分散へ 首都直下に備え国交省が検討会新設

 首都直下地震の発生に備え国土交通省は、東京圏に集中する中枢機能の分散やバックアップ確保に向けた検討に乗り出す。「東京圏の中枢機能のバックアップに関する検討会」の初会合を12月9日に開き、バックアップすべき業務の種類や範囲、バックアップ先の条件などの在り方を議論する。検討成果は11年度中にまとめる方針だ。
 東日本大震災では、政治・経済の中枢機能が集積する東京23区のほぼすべてで震度5弱以上を観測。東京圏(埼玉県、千葉県、神奈川県を含む)の死者・行方不明者は約30人、住宅被害棟数は約3000棟に上った。また、多くの地域でライフラインの途絶や公共施設の損壊があったほか、千葉県市原市でのコンビナート火災など民間の生産設備にも大きな被害をもたらした。さらに、交通機関の混乱によって大量の帰宅困難者が発生するなど、大震災に対する東京圏のぜい弱さがあらためて浮き彫りとなった。
 こうした状況の中、人口や政治・行政・経済の中枢機能が集中する東京圏で首都直下地震が発生すれば、他地域が被災した場合とは量的にも質的にも次元が異なる大きな影響が想定されることから、国交省は東京圏の機能分担・バックアップ手法を早急に検討することが必要と判断した。
 新設の検討会は、大西隆東京大学大学院教授を座長とし、委員は有識者が務める。政務二役(松原仁副大臣、津川祥吾政務官)も検討に加わる。検討に当たっては、政治、行政、経済など多岐にわたる中枢機能について、バックアップすべき業務の種類・範囲を絞り込んだ上で、バックアップの形態やバックアップ先の条件を話し合う。ただし、中枢機能の在り方は一省庁で判断できない部分が多いため、検討成果は「政策判断のための基礎的な材料」(国交省)と位置付ける。
 東京圏の機能分散・バックアップをめぐっては、国交省の国土審議会政策部会防災国土づくり委員会が本年7月にまとめた「災害に強い国土づくりへの提言」で、「日本全体を東西や太平洋側・日本海側に区分して、それぞれが有事の際に被災圏域の機能の一部を分担できる体制を構築しておく」ことなどを例示。その上で、バックアップのための拠点の配置などを検討するよう求めた。こうした考え方が今後の議論の土台となりそうだ。

提供:建通新聞社