経済産業省は、建築物の消費エネルギーをゼロにするネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)とネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の実現を目指し、建築物の省エネ化に対する補助事業を拡充する。2012年度の概算要求で予算額を140億円に倍増。ZEBを目指す建築物に対し、一律3分の1としていた補助率をエネルギー消費量に応じて最大3分の2まで引き上げる。住宅向けでは、省エネ化や再生可能エネルギーの導入で年間のエネルギー消費をゼロにするための事業費を2分の1まで補助する。
1999年度から実施している住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業を拡充し、「住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業」として新規で予算措置する考え。
ビルの省エネ化に対して従来の補助制度では、「年間エネルギー消費量の25%程度削減」を要件に、新築・改修時の高効率設備などの導入に必要な事業費の3分の1を補助してきた。しかし、採択事業の中には60%を超える高いレベルの削減を見込むビルがあったことを踏まえ、削減効果に応じて補助率を3分の2まで変動する仕組みへと見直す。
補助対象として▽太陽光発電システム▽デシカントシステム▽ハイブリッド空調制御技術▽LED照明▽光ダクトシステム―などを例示している。
住宅の省エネ対策については、再生可能エネルギーで生まれるエネルギーで全エネルギー消費を賄うことを条件に補助を認める。補助率を最大2分の1まで引き上げて建築主のコスト負担を軽減する。
経済産業省はまた、来夏以降の電力需給対策の一環で、電力消費に限定した支援策として「建築物節電改修支援事業費補助」も立ち上げる。既存建築物に節電効果の高い空調・給湯・照明設備を導入する際、事業費の3分の1(中小企業は2分の1)を補助する仕組みだ。第3次補正予算に総額150億円を計上している。
提供:建通新聞社