国土交通省は21日、国費総額1兆2448億円に上る第3次補正予算案の概要を発表した。東日本大震災の復旧・復興経費は1兆0473億円で、このうち公共事業費は7191億円。東日本大震災からの復旧に3768億円、復興に4097億円、全国防災に2609億円を充て、国土全体の防災力を高める。このほか、台風12号などにより被害を受けた地域の災害復旧に1975億円を計上した。
今回の補正予算案は、東日本大震災からの復旧・復興とともに、大震災を教訓として災害に強い社会基盤整備を強力に推進していくことを基本的な考え方に据えた。
被災地の復旧に向けては、被災した河川、海岸、道路、港湾などの原形復旧に3565億5100万円、仙台空港全体の排水機能の復旧に14億7600万円、被害を受けた中小第三セクター旅客鉄道に対する国の支援拡充に65億6200万円、官庁施設の復旧に5億1100万円などを計上。復旧段階での下水処理の適正管理に関する調査に6000万円、復旧・復興工事での現場配置技術者の実態調査に3000万円を盛り込んだ。
復興事業のうちインフラ整備関連では、三陸沿岸道路などの復興道路・復興支援道路の緊急整備に720億8900万円、道路の防災・耐震対策に105億7900万円、河川津波対策に77億1300万円、土砂災害対策に5億8900万円、河川管理施設の機能確保に112億1000万円などを充当。東北地方の高速道路無料開放に250億円を充てて復興を後押しするほか、社会資本整備総合交付金に145億4100万円を積み、地方自治体が取り組む復興事業を推進する。
ソフト面では、住宅金融支援機構が行う災害復興住宅融資の金利引き下げ(当初5年間は0%など)に1358億円、サービス付き高齢者向け住宅の供給促進に50億円、木造長期優良住宅の供給推進に50億円、フラット35Sによる住宅省エネ化の推進に159億円、住宅エコポイントの復活に723億円(環境省も別途計上)、住宅・建築物のゼロエネルギー化推進に10億円などを計上。放射性物質を含む下水汚泥などの適切な処理に関する調査や、復興の象徴となるメモリアル公園などの在り方に関する検討にも取り組む。
東日本大震災を教訓として、全国的に防災力を高めるための事業も積極的に展開する。インフラ整備関連では、河川津波対策に369億9100万円、道路の防災・震災対策に1092億1100万円、河川管理施設の機能確保に51億5300万円、港湾の防災・震災対策に55億0900万円、空港の耐震化に69億7400万円、官庁施設の既存不適格建築物の耐震化に53億7000万円などを充当。社会資本整備総合交付金には566億4500万円を追加することにした。
提供:建通新聞社