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中央ニュース

2011/10/05

建設業団体による保険加入状況確認を視野に 国交省が12年度から保険加入徹底の取り組み

 国土交通省は、社会保険加入の徹底など通じた建設技能者の確保・育成の取り組みに2012年度から着手する方針を固めた。保険加入状況を建設業団体が確認する仕組みの構築を視野に入れた調査を実施するほか、いわゆる「一人親方」や重層下請け構造の実態把握に乗り出す。基幹技能者の活用促進に向けて、現場配置効果などを検証することも想定している。12年度予算の概算要求に、建設技能労働者人材確保・育成促進事業費として4000万円を計上した。
 建設技能者をめぐっては、高齢化の進展や若年入職者の減少によって中核的な技能者の確保や技能承継が大きな課題となっている。本年6月に建設産業戦略会議がまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2011」には、建設技能者の雇用環境を改善する観点から、保険未加入企業の排除や重層下請け構造の是正が盛り込まれた。
 このような状況を受け国交省は、行政による保険加入状況の確認強化や、元請け指導責任の明確化などに向けて、建設業法の政省令や告示を見直す方向で検討を進めている。今回の概算要求では、こうした法制上の対応策を補完しつつ、建設技能者の確保・育成にもつながる施策を講じる方針を示した。
 保険未加入企業の排除に向けては、建設企業で働く労働者の保険加入状況を建設業団体がチェックする仕組みの構築を目指し、12年度から調査を始める。類似の取り組みとしては、トラック運送事業者団体の事例がある。貨物自動車運送事業法に基づき、新規事業許可に際して社会保険などへの加入を求め、既存事業者に対しては、各都道府県トラック協会が巡回指導した上で、改善が認められない場合には行政処分を課す仕組みだ。こうした事例を参考としつつ、建設業団体の意見を踏まえながら、制度設計を固めていく。
 また、保険未加入企業の排除を徹底した場合の懸念として、一人親方の増加などが指摘されているため、一定数の工事現場を抽出して、一人親方の就労形態や重層下請け構造の実態などを把握するための調査を実施する。
 さらに、中核的な建設技能者を確保する観点から、基幹技能者の評価・活用に関する調査にも着手。具体的には、基幹技能者を現場に配置したことによる効果を、工事関係者からのヒアリングなどによって検証する。

提供:建通新聞社