国土交通省は、直轄事業で設計成果の不具合が多発しているため、品質確保に向けた取り組みを強化する。設計業務の発注時に必要な設計条件を受注者に明示するための「条件明示ガイドライン」(案)を12月までにまとめる。また、設計業務での照査が確実に実施できるよう、照査期間の明示や業務成績評定の充実、照査技術者の評価拡大などに取り組む方針だ。一方で、設計成果の不具合に対するペナルティーの在り方も検討する。
国交省の調べによると、2010年度上半期に三者会議を実施した土木設計業務870件のうち、構造物に影響がある不具合が26・7%に当たる232件で発覚した。不具合の要因を受注者に尋ねたところ、「データ入力などの作業時の不注意・確認不足」「照査体制が不十分」といった回答が目立った。また、履行期間が短い業務ほど、不具合の発生率が高いことも分かった。このため国交省は、設計成果の品質確保に向けて新たな取り組みに乗り出すことを決めた
「条件明示ガイドライン」(案)は、設計業務の発注時に必要な設計条件などを受注者に確実に明示できているかを確認するためのもの。例えば、道路詳細設計では▽設計条件▽協議関連▽関連構造物の設計条件▽環境・景観▽コスト縮減▽施工上の基本条件―といった項目ごとに、明示すべき内容を示す。また、設計業務で発注者が検査する項目などを明確化し、検査技術基準としてまとめる。
実効性ある照査の仕組みの確立にも着手する。具体的には、▽業務に必要な履行期間、確実な照査の実施に必要な期間の確保▽管理技術者に加え照査技術者自身による報告の義務付け▽照査の体制・実施状況をより的確に評価するための業務成績評定の充実▽入札契約時の照査技術者の評価拡大―などを想定。こうした受注者の業務環境整備と併せ、不具合に対するペナルティーの強化も視野に入れている。
提供:建通新聞社