国土交通省は、直轄工事の総合評価方式で2011年度に試行する多様な発注方式の実施方針を固め、26日の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」に示した。入札前に技術的能力を審査し参加者を絞り込む「段階選抜方式」は、全国の地方整備局で2011年度中に少なくとも12件を試行。下請けや資材会社の地域精通度・貢献度を評価する「地元企業活用審査型」は約60件、入札参加者に加え専門工事業者の技術力も評価する「特定専門工事審査型」は約10件の試行を予定している。
段階選抜方式は、入札参加者の技術提案や発注者の審査に要する負担を軽減するため、入札前に技術的能力を審査し、一定数に絞り込む仕組み。10年度には入札参加者を10者に絞り込む手法などを7件試行した実績がある。11年度の試行件数は▽関東5件(鋼橋上部、PCなど)▽近畿1件(一般土木)▽中国2件(鋼橋上部)▽四国2件(一般土木、鋼橋上部)▽九州2件(一般土木、PC)―を予定している(東北と中部が検討中)。
同方式をめぐっては26日の会合で、委員から「10者程度では負担軽減につながらない。5者、または3者程度まで絞り込むべき」との意見が出た。このため国交省は、絞り込み数を含め運用方法を再検証した上で、試行につなげていく方針だ。
地元企業活用審査型は、元請けだけでなく、下請けや資材会社の地域精通度(近隣地域での施工実績など)や地域貢献度(災害協定の締結・活動実績など)を技術評価の項目に盛り込むもので、09年度から計79件の試行実績がある。
特定専門工事審査型では、専門工事業の技術力が品質に大きな影響を及ぼす工事を対象として、入札参加者に加え、現場に入ることが想定される専門工事業者の技術力も評価する。対象工事は、法面処理工、杭基礎工、地盤改良工、海上工事であって、専門工事の重要度が高い工事となる。
提供:建通新聞社