国土交通省は、直轄工事の総合評価方式を、「施工能力評価型」「技術提案評価型」「高度技術提案評価型」の3タイプ(いずれも仮称)に刷新する方針を固めた。施工能力評価型は、現在の簡易型に加え、標準型の一部を組み入れ、簡易型で求める「簡易な施工計画」に代わる効果的・効率的な評価手法を検討する。技術提案評価型は、標準型のうちWTO対象工事などを念頭に、技術評価点に差が付きやすい技術提案の設定方法・評価方法を定めた上で、段階選抜方式の試行を拡大する。こうした考え方を26日の「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」に示した。
総合評価方式は、価格と技術を総合的に評価し、落札者を決定する仕組み。直轄工事では現在、工事の難易度に応じて「簡易型」「標準型」「高度技術提案型」の3タイプで運用している。
しかし、直轄工事の実績を見ると、例えば、簡易型では、簡易な施工計画の得点率が80〜100%と高く、技術力の選別という観点からは必ずしも有効に機能していない懸念がある。また、標準型のWTO対象工事は、▽技術評価点1位と2位の得点差が縮小しており、技術評価点での差が付きにくくなっている▽1工事当たりの競争参加者数が急増している―といった課題が指摘されている。こうした点を踏まえ国交省は、総合評価方式について技術提案を重視するタイプと、簡易に技術力を評価するタイプに二極化させていく必要があると判断した。
新たなタイプのうち、施工能力評価型は、現行の簡易型と比較的難易度の低い標準型を対象とする考え。施工能力を持った企業を確実に選別する観点から「簡易な施工計画」に代わる選定手法を検討する。現時点では、ヒアリングの活用などを想定している。一方、受注者の固定化につながらないような配慮も講じる。
技術提案評価型は、技術評価点に優位な差が出るよう、求める技術提案の設定方法や評価方法を検討していく。また、標準型のWTO対象工事で入札参加者が急増していることを踏まえ、段階選抜方式の試行を拡大する。
高度技術提案評価型は、より技術力を評価する観点から予定価格の設定方法や落札者の決定方法を改める。適用件数の拡大に向けて、手続きの簡素化や手続き期間の短縮なども進めていく。
国交省は12月の次回会合で具体的な制度設計案を示した上で、2012年3月にも運用方針案を固める構え。その後、準備の整った地方整備局から新たな総合評価方式の運用を始める方針だ。
提供:建通新聞社