国土交通省は、2011年都道府県地価調査(7月1日時点)の結果を発表した。10年7月から1年間の全国地価平均変動率は、前年のマイナス(▼)3・7%から▼3・4%へと縮小し、上昇・横ばいの地点も増加した。ただし、半年ごとの変動率を見ると、住宅地、商業地ともに後半に下落率が拡大した。国交省は「東日本大震災の影響」とみている。
全国の地価変動率を用途別に見ると、住宅地が前年の▼3・4%から▼3・2%、商業地が▼4・6%から▼4%と、下落傾向は続いたものの下げ幅は縮小した。三大都市圏は、住宅地が前年の▼2・9%から▼1・7%、商業地が▼4・2%から▼2・2%と下落傾向が弱まった。一方、地方圏は住宅地が▼3・6%から▼3・7%へと下落幅が広がり、商業地も前年と同水準の▼4・8%だった。
1年間の地価変動率を前半と後半に区切って比較すると、全国平均では住宅が▼1・2%から▼1・3%、商業地が▼1・7%から▼1・8%へと、後半に下落幅が拡大。三大都市圏では、東京圏の住宅地が▼0・7%から▼1%、商業地が▼1・1%から▼1・4%、名古屋圏の住宅地が▼0・1%から▼0・3%、商業地が▼0・5%から▼0・6%へと下落傾向が強まったのに対し、大阪圏は住宅地が▼1%から▼0・7%、商業地が▼1・4%から▼1・1%と下落幅が縮小した。地方圏は、住宅地が前年と同水準の▼1・8%で、商業地が▼2・4%から▼2・3%へと、わずかながら下げ幅が縮まった。
国交省土地・建設産業局地価調査課は、「大阪圏は7月まで5カ月連続で転入者数が転出者数を上回る転入超過が続いている。東日本大震災で大阪圏に拠点を移す企業が増えており、このことが地価に影響を与えたのではないか」と分析している。
提供:建通新聞社