直轄の調査・設計業務で2010年度から試行を始めた「履行確実性評価」が、低価格受注の防止に高い効果を発揮していることが、国土交通省のまとめで分かった。10年度は同制度の対象となる業務566件のうち、低入札価格調査基準価格を下回った案件が49・1%を占めたが、履行確実性評価を経て契約に至ったのは1・1%にとどまった。対象範囲を拡大した11年度は4月から7月までの実績ながら、低入札そのものが19・6%へと大幅に減少し、実際に契約された案件もわずか1%だった。
履行確実性評価は、調査基準価格を下回った者すべてに追加資料を提出させた上で、@業務内容に対応した費用が計上されているかA配置予定技術者に適切な報酬が払われることになっているかB品質管理体制が確保されているかC再委託先への支払いは適正か―という4項目を審査し、「技術提案の確実な履行の確保」という技術評価項目の中で技術提案評価点を5段階で減点評価するもの。10年度は一部の地方整備局を除き9月から予定価格2000万円以上の総合評価方式による業務を対象に試行。11年度からは予定価格1000万円以上に対象を広げた。
国交省が6日の「直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」に示した履行確実性評価の実施状況によると、10年度の履行確実性評価対象業務は566件で、うち49・1%に当たる278件で低入札価格調査基準価格を下回った。低入札者329者を対象に履行確実性評価を実施したところ、85・9%に当たる283者は審査書類の不提出などで辞退、13%の43者は審査で非落札者とされた。審査を通り契約できたのは1・1%の3者だったが、国交省によると「これらも該当者以外の入札が無効などとなったため」で、実質的には低入札者がすべて排除されたという。
また、11年度は対象範囲の拡大によって、4月から7月までの実績で計2933件が同制度の対象となった。このうち、低価格入札は19・6%の575件で、前年度に比べその発生率は半分以下に下がった。低入札者1123者のうち、辞退は89%の999者、審査によって非落札は10%の113者、審査によって契約は1%の11者だった。
提供:建通新聞社