国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会交通体系分科会は、14日に開いた合同の環境部会で、東日本大震災からの復旧・復興に当たり、環境と安全・安心の確保が調和した計画づくりや事業の実施を求める提言をまとめた。低炭素社会の実現に向けて、集約型の都市構造への転換や再生可能エネルギーの導入、住宅・建築物の省エネ化などを促進する必要性を指摘した。
提言は、東日本大震災からの復旧・復興について「被災者の生活再建と安全・安心の確保が最優先で取り組まれる課題であり、全国的には電力需給のひっ迫の解消が急務」としつつ、「それと同時に、将来世代のために良好な環境を形成し、引き継ぐ責任がある」との認識を提示。その上で、▽低炭素社会▽自然共生社会・生物多様性保全▽循環型社会―という三つの視点から、復旧・復興の在り方を示した。
低炭素社会の実現に当たっては、2010年8月に国交省が策定した「低炭素都市づくりガイドライン」などの活用によって、集約型都市構造に転換することが重要とした。また、固定価格買取制度を活用しつつ、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギー導入を促進するとともに、蓄電池やスマートグリッドを使って、自立分散型のスマートエネルギーシステムの確立を目指すこととした。さらに、ライフサイクル全体を通じたCO2排出量をマイナスにするLCCM住宅の普及促進も求めた。
自然共生社会などの構築に当たっては、河川堤防などに多自然型工法を採用するほか、津波被害の跡地を沼地や湿地などに再生するなど、自然との共生や生物多様性保全の観点から活用することが重要とした。循環型社会を実現するため、再生可能な災害廃棄物の種類を把握した上で、その種類ごとに活用方法を検討する必要性を指摘。特に、コンクリートくずは、公園緑地や宅地盛土などへの活用を促進すべきとした。
提供:建通新聞社